生体医工学
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慣性センサによる歩行中の足軌跡の測定
福永 道彦門田 雄輔
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2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S24_2

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抄録

動作解析には高価で大掛かりな設備が必要であるが,臨床使用を目的とした歩行動作の測定に対象を絞れば,より安価で扱いやすい機器を設計しうる.本研究では,3軸の加速度と角速度を測定する慣性センサを足に取り付けることで,歩行中の足の軌跡を測定するシステムを制作した.立脚中期に足の速度および加速度がゼロになることに着目して,角速度による足姿勢の測定を1ストライドごとにリセットし,オフセット誤差を補正することで,重力加速度を除いた加速度を2回積分して足軌跡を測定することができる.また,本方法によれば,センサの設置姿勢によらず重力加速度由来の固定座標系で結果を出力することができる.試みに,通常歩行のほか,異常な歩行として歩幅の小さい歩行,足を外側に振る分廻し歩行,およびつま先を引きずる跛行を対象に足軌跡を測定した.その結果,測定された足軌跡および足姿勢はそれぞれの歩行の特徴をよく示していた.ただし,特に水平面上においてドリフト誤差や重力の補正が不十分と考えられる箇所があった.角速度の積分による足姿勢の推定におけるオフセット誤差を補正する工夫によって,さらに精度よく推定が可能になると考えられる.

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© 2019 社団法人日本生体医工学会
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