2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S65_2
近年,心疾患や脳血管疾患のような心臓血管系の病気が社会問題となっている.そこで,体調を多種生理指標から判別することを目標とし,血圧;BP,脈圧;PP,脈拍数;PR,血管緊張度;NPV,血管弾性度;Ev,及び血管壁沈着物指数;ηv という生理指標が同時計測可能な装置が試作されてきた.従来までは断眠時の体調不良判別実験が行われてきたが,想定し得る体調不良は無数に存在すると考えられる.そこで,本研究では老化を体調不良と捉え,健康レベルの低下が本装置で判別可能であるか評価することを目的とした.実験条件として,高齢者10名と健常成人10名を対象とし,空調管理された静かな部屋で計測実験を行った.被験者は椅座安静状態で 1 人につき 5 回ずつ計測を行った.結果として,SBP,PP ,Ev 及び ηvで有意差 が見られた(t<0.01).SBPとPP は高齢者の方が高くなっていることから,老化に伴う高血圧症および動脈硬化症の可能性が考えられる.Evおよびηvでも高齢者と健常成人で有意な差(t<0.01)がみられた.以上より,Evとηvは血管の硬さ指標として利用でき,本装置で健康レベルの低下が判別可能であると示唆された.