2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S86_1
歯や骨の主成分であるハイドロキシアパタイト(HA)は、六方晶の結晶構造内にイオン分布の偏りがあり、これを起源とする電気的異方性によりタンパク質吸着性を持つ。この性質を利用し、クロマトグラフィーの充填剤等に応用されてきた。我々はタンパク質吸着性をさらに効率的に生かすため、HAを配向制御した薄膜を吸着層としてバイオチップを構成することを目指し研究を行ってきた。これまでに、パルスレーザーデポジション(PLD)法を用い、a面、c面の配向制御技術を確立してきたが、本研究ではバイオチップ化する際の生産効率を考慮し、大量生産向きかつ再現性に優れるスパッタリング法を用いた。成膜条件を検討した結果、スパッタリング法においてもa面、c面配向HA結晶膜の作り分けに成功した。また、作製した試料の表面観察を行い、その平滑性についての評価を行ったので報告する。