2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S86_2
神経・筋組織など,興奮膜を持つ細胞組織の自発活動や外来性刺激に対する応答を計測・解析し,その結果を元に刺激のパラメータを逐次更新しながら与えることで,組織の活動を所望の状態へ制御する技術の開発が世界的に多くの関心を集めている.この技術は,臨床にも用いられる脳深部刺激や,幹細胞の成熟化育成にも応用可能と期待されるが,依然としてその確立には基礎研究からの知見が乏しい.そこで,そうした実験研究用のプラットフォームとして,in vitroの細胞組織に対して,外来性刺激と細胞活動計測を多チャネルで行う電子デバイスシステムの開発を行った.ディッシュ型平面多点電極を組織試料とのインターフェイスとし,最大20チャネルからの細胞外電流パルス刺激および最大32チャネルからの細胞外電位計測を実現している.信号フィルタやサンプリング周波数等の計測パラメータ,および電流振幅やパルス幅などの刺激パラメータは外部コンピュータから変更可能であり,さらに,刺激パラメータについては,内蔵のプログラム可能ロジック回路(FPGA)に所望の閉ループ制御ブロックを実装することで,培養組織の活動制御や成熟化育成などを自律的に行うことが可能となる.