生体医工学
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容量性結合電極を用いた発汗評価に関する基礎的検討
柏村 遥弘植野 彰規福岡 豊
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 460

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抄録

容量性結合電極を用いて心電図を計測する際、発汗量により信号の振幅が変化する事象が観測された。容量性結合電極では、電極-布-体表面で容量性結合を形成しており、発汗によって布の誘電率などが変化すると、信号の振幅に影響を及ぼすと考えられる。この原理を応用すれば発汗量をモニタできると考えた。本研究では、心電図からの発汗評価の基礎的な検討として、汗を生理食塩水で模擬し、心電図シミュレータを用いて、生理食塩水量と観測信号の振幅の関係を調べた。生理食塩水の量を0.05~1.00mlまで変えて、量と振幅の関係をプロットした。電極の大きさは6 cm×6 cmとし、布は厚みの異なる綿100%を2種類、麻100%、ポリエステル100%を使用した。心電図の振幅はRS波高値の5秒間の平均を用いて評価した。5回測定を行い、振幅の平均を求めた。どの布を用いても0.05~0.75 mlの間で平均振幅は約0.06 V直線的に上昇した。また0.75 ml以上では、どの布でも減少した。材質の影響は大きいが、布の厚みによる影響は少ないと考えられる。文献調査の結果、高齢者の日常生活における発汗量は直線部分におさまる範囲であることがわかった。本研究では容量性結合電極を用いた心電図から、絶縁物の素材による発汗量計測の特性を検討し、生理食塩水量や素材によって振幅に変化が見られること、直線的に変化する部分があることを示した。

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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