生体医工学
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若手研究者がアイディアを産学連携に発展させるためには研究における文脈が重要だ
朔 啓太
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2021 年 Annual59 巻 Abstract 号 p. 154

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抄録

「アイディアを予算化し、実現すること」は研究者における定義の一つである。医工学分野では実現とは医療につながる機器を創出することであり、医療機器創出には、ものを作る技術とともに、実用化を目指した産学連携活動が必須である。発表者は、所謂ビッグボスのもと、豊富な研究資金や産学連携活動が当たり前として存在する環境でキャリアをスタートしたが、自身が主任研究者(PI)をつとめるようになると、企業導出の難しさを実感するようになった。研究コンセプトが独創的かつ可能性にあふれていても、無名で業績がない若手に投資を積極的にしたがる人は少ない。挑戦を恐れる日本社会などという安易な社会批判に帰着する問題ではなく、若手だからこそ、大胆なコンセプトを実現する確度を適切に主張する必要がある。発表者は幸いにも、さまざまな産学連携活動に携わることができているが、もっとも重要であったアクションは、臨床的にインパクトのある論文を積み重ね、学会などの場で自身の認知を医師だけでなく企業の方々に増やしたことである。長期的視点で物事に取り組める点で若手であることはそれ自体が武器である。一方、期待値につながる「その人本人の」研究文脈がコラボレーション開始には重要である。

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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