生体医工学
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病変を有するてんかんにおける斜磁振動トポグラフィーによるhigh frequency oscillationsの評価
岡村 朗健橋詰 顕香川 幸太片桐 匡弥瀬山 剛栗栖 薫飯田 幸治
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2021 年 Annual59 巻 Proc 号 p. 672-674

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抄録

【【背景】High frequency oscillations (HFO)はてんかん原性ネットワークの潜在的指標と考えられている。脳磁図の周波数解析の方法として、センサーを垂直方向に脳表へ射影して脳表上に周波数ごとにパワーを表示する、傾斜磁振動トポグラフィー(gradient magnetic-oscillation topography: GMOT)を開発した。【方法】2018年1月から2020年5月までに広島大学脳神経外科において焦点切除術を施行された病変を有する難治てんかん11例を対象とした。男性7名、女性4名で、平均年齢23.0歳(2-47歳)であった。術後病理所見は、Glioma 7例、Cavernous hemangioma 2例、Hippocampal sclerosis 1例、Focal cortical dysplasia type II 1例であった。頭蓋内電極設置は2例で施行されていた。術後発作転帰はEngel class I 10例、Engel class II 1例であった。脳磁図解析では、全検査時間について1秒おきに、HFOのうち200-330 Hzのパワーを脳表に描出するGMOTを作成した。パワーが800 (fT/cm)^2/Hz 以上をfast ripples (FR)と定義した。3-35Hzの波形についてECD推定により解析し、GMOTの結果と比較した。【結果】ECDは8/11例(72.7%)で病変近傍に集簇した。GMOTはFRを9/11例(81.8%)で病変近傍の脳表に描出した。頭蓋内脳波を施行した2例では、ictal onset zoneとGMOTで得られたFR領域との距離は3cm以内であった。【結論】GMOTによるHFOの解析結果はECD推定法とほぼ同様の結果を示した。

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© 2021 社団法人日本生体医工学会
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