生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
RFパルスを用いたスカラー型光ポンピング磁気センサの原理実証に向けた実験及びその性能評価
堀 拓真後藤 達哉伊藤 陽介小林 哲生
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 Annual59 巻 Proc 号 p. 831-833

詳細
抄録

"【背景・目的】極微弱な生体磁気信号を計測するセンサとして、光ポンピング磁気センサ (Optically pumped magnetometer : OPM) が注目されている。従来、生体磁気計測には、外部の地磁気や環境磁気ノイズを遮断する高額な磁気シールドが必要である。この問題を解決するために近年、OPM をスカラーモードと呼ばれる動作条件で用い、地磁気環境下で生体磁場を計測する試みが行われている。本研究では、アルカリ金属原子の電子スピン偏極の自由誘導減衰 (FID) を利用したスカラーモードOPMの性能について理論的・実験的に評価・検討を行った【方法】実験は磁気シールド内で実施し、シールド内のガラスセルにはRb原子が封入されている。Rb原子はまず円偏光のポンプパルスによってスピン偏極を生じ、その後RFパルスによって90°倒される。ポンプ光方向には地磁気を想定した静磁場がかけられており、倒されたスピン偏極は、自由誘導減衰 (FID) を開始する。このFIDの周波数を検出することで、磁場強度を計測する。計測対象磁場として40 Hzの正弦波を 200 nT, 10 nTの強度で印加し計測を行った。【結果・検討】実験によって90°パルスを用いたスカラー型OPMで磁場強度の計測ができることが実験的に実証された。本研究ではノイズフロアが700 pT程度であったが、今後はグラジオメータ構成による差動計測を行い、生体磁気計測を可能とするさらなる感度の向上を目指す。"

著者関連情報
© 2021 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top