生体医工学
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MRIによる定量的画像バイオマーカーを用いた関節疾患への臨床応用
野崎 太希
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2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 118_1

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抄録

バイオマーカーとは、正常の生理学的状態や病態、治療介入による変化などを示す客観的に測定・評価される生体の指標値である。バイオマーカーは疾患にかかった後の治療効果指標だけではなく、疾患を未然に防ぐための日常的な指標としての疾患の予防にも応用されている。たとえば、健康診断における血糖値やコレステロール値、血圧などは生活習慣病の指標として用いられる代表的バイオマーカーである。生体画像においても、生体画像から得られる定量値を標準化し、定量的画像バイオマーカー:Quantitative imaging biomarker(QIB)として、治療評価指標や疾患予防などの医療に応用しようとする試みがされてきており、実際に現在までにさまざまな研究がある。 たとえば、膝関節の関節軟骨の状態を反映する指標としてT2 mapping, T1rho mappingといったMRIの技術がある。これは関節軟骨内の水分含有量、コラーゲン配列、プロテオグリカンの濃度等の組織学的変化を画像で描出する方法論であり、形態異常が出現する前に分子レベルでの早期の変形性関節症性変化を探知できる。肩関節では筋内の脂肪含有量の定量値も腱板断裂の評価において有用であり、術後再断裂の予測や関節症性変化への進行を予測する画像バイオマーカーとなりえる。 本シンポジウムでは当院で行ってきているこれらのMRIを使った画像バイオマーカーによる日常診療への応用について紹介し、機械学習を含めsegmentation等の自動化や今後の未来予想図についても議論したい。

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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