生体医工学
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導電性繊維による自己静電型体圧・近接刺繍センサを用いた介護技能評価システムの開発
黒﨑 紘史川原 潤也中村 哲也近藤 健李 範爽小田垣 雅人
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 307_2

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抄録

介護現場において、介護者の身体的負担は共通の問題である。特に介護未経験者の身体的負担を軽減するには、介護技能を効率よく習得することが重要である。先行研究でも、介護技能の定量的な評価が行われている。先行研究の多くは、複数の赤外線カメラを搭載したモーションキャプチャシステムや床反力計を用いた評価がおこなわれている。しかし、計測装置が高価であることや広い設置空間が必要になることが問題である。装置の設置環境に左右されにくく安価な介護技能評価システムが求められている。そこで、我々は、センサ部を導電性繊維の刺繍にて形成した自己容量型静電容量方式の圧力・接近センサを用いた移乗介護技能評価システムを開発した。開発した技能評価システムは、被介護者の着座時の位置および臀部が座面に接触する速度を計測することが可能である。今回、技能評価システムが移乗動作の介護技能の評価に有効であることを検証した。具体的には、ベッドから車椅子への移乗動作における被介護者の着座位置および着座速度を介護未経験者と作業療法士で計測し評価をおこなった。着座位置の評価は床反力計のCOPを指標とした。着座速度の評価はモーションキャプチャシステムから得られる被介護者の着座時の速度を指標とした。その結果、介護技能評価システムは介護未経験者と作業療法士の移乗介護動作の違いを確認することができ、技能を評価することが可能であることを確認した。

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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