生体医工学
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受精卵の品質を保ち、定量的に評価する医工学
村山 嘉延
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 107_1

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抄録

不妊症の治療に顕微授精や体外培養などの高度ヒト生殖補助医療は最も有効な手段であるが、それでも採卵当たりの妊娠率は8.6%と未だ低い水準にあり、技術的に克服すべき課題が残されている。とくに、受精から移植までのあいだの数日間、受精卵は体外で培養されなければならず、生体内(in vivo)の環境とは異なるために約40%ほど受精卵品質を落としていると言われている。受精卵の品質に関わる医工学的な課題は(1)受精卵品質を維持する培養環境、(2)受精卵に優しいハンドリング技術、(3)受精卵の品質を評価(診断)する手法の実現であり、本発表ではこれらの最先端について紹介するとともに、私たちのこれまでの研究成果を交えてさらなる解決の方法について可能性を探りたい。加えて、生殖補助医療を支援する技術群が再生医療など周辺領域への応用に期待されている事例を紹介する。

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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