2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 149_2
医療機器の安全管理は第5次医療法改正(平成19年施行)において実施が義務づけられ、全ての医療機関で対応が求められているところである。
一方、各医療機関は病床規模や医療機器安全管理に充てる人員数や予算が異なることから、医療機器安全管理の運用には差があると考えられる。そこで当財団では医療機器安全管理の実態を把握するべく、厚生労働行政推進調査事業補助金による「医療機関における医療機器安全管理の実態調査に関する研究」において全国の医療機関(8138施設、診療所を除く)に対して医療機器安全管理の実態調査を実施した。具体的な調査内容は医療機器の安全使用に関する研修や保守点検の実施状況、医療機器安全管理に充てる人員や予算などを幅広く調査した。その結果、2634施設から回答を得ることができ(回答率:約32%)、今後の医療機器安全管理のあり方を検討していく上での基礎資料として有用なものとなった。
医療機器の安全管理は医療機器のトラブルに遭遇する医療従事者が幸いにも少ないことから通常の診療業務が優先されて軽視される傾向にある。しかしながら、いつかは患者に悪影響を及ぼすようなアクシデントに偶発的に遭遇する可能性もあることから現状の医療機器安全管理の課題を抽出し、その解決に向けた取り組みは重要となる。
そこで本講演では医療機器安全管理の実態調査の結果を一つのエビデンスとして今後の医療機器安全管理のあり方を考える場とする。