生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
先行研究から見たエビデンスに基づいた医療機器管理を実現するための課題
新 秀直
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 150_1

詳細
抄録

医療の高度化に伴い、医療機関内で使用される医療機器は増加し、その管理や安全性を確保することがますます重要になっている。2007年には改正医療法が施行され、全ての医療機関に医療機器安全管理責任者の設置が義務付けられた。しかし、医療法に基づき、医療機関独自の医療機器管理は実践されているものの、エビデンスに基づいた医療機器管理が実践されているとは言えず、医療機器の専門家である臨床工学技士が不在の状況でも医療機器が使用されている現状にある。

このような課題に着目し科学研究費助成事業:医療機器安全管理体制の現状調査と標準モデル化に関する研究の補助を受け、医療機器の保守管理体制の問題点を明確にすることを目的として、アンケート調査を行った。

その結果、臨床工学技士が病院に配置されることにより、医療機器の安全管理の効率化や個別の医療機器の管理や定期的な研修等、きめ細やかな医療機器の保守管理が実施されている一方で、負担も大きくなっていることが明らかとなった。さらに医療機器安全管理を進めるためには、病院管理者が医療機器安全管理体制の重要性を理解し、臨床工学技士が配置されていなくても、最低限の医療機器の安全管理が全ての医療施設で実践できるようにエビデンスに基づく医療機器管理を実現するための環境整備が必要であると考える。本セッションでエビデンスに基づいた医療機器管理の実現のために何が必要か私見を交えて議論したい。

著者関連情報
© 2024 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top