生体医工学
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音脈分凝を用いた聴覚BCIへのdynamic stoppingの適用による精度と情報伝達速度に対する効果
小島 宰門加納 慎一郎
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 210_1

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抄録

聴覚BCI(brain-computere interface)は聴覚刺激により誘導されるユーザの脳活動から意図を抽出し,外部機器の制御を可能にする技術である.我々はこれまでに,音脈分凝と呼ばれる錯聴現象を用いて複数の音脈を提示し,ユーザの音脈に対する選択的注意を検出する聴覚BCIシステムを提案してきた.しかし,試行の開始からユーザが注意を向けている音脈を推定するまでの時間(試行時間)が最適化されておらず,検出精度と情報伝達速度の両立ができていなかった.そこで本研究ではDS(dynamic stopping)を用いて,各試行に対して動的に試行時間の最適化を行い,検出精度と情報伝達速度に対する効果について検討した.計15名の被験者に対して行った,分凝知覚される4種類の音脈への選択的注意課題で得られた脳波データを用いて,オフライン解析によるシミュレーションを行った.その結果,DSを適用しなかった場合,検出精度0.83,情報伝達速度0.82 bit/min,適用した場合,検出精度0.76,情報伝達速度2.01 bit/minであり,DSの適用により検出精度を大きく低下させることなく,情報伝達速度を大きく向上させることができた.本結果から,音脈分凝を用いたBCIパラダイムの試行時間の最適化と,情報伝達速度の向上が可能であることが示唆された.

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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