生体医工学
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マウス受精卵の培養温度に12時間変動を与えた場合の胚発育への影響
石田 愛乃村山 嘉延
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 286_2

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抄録

背景:ヒト生殖補助医療において、培養環境の変化はすべて受精卵にとってストレスとなり、受精卵品質を低下させる原因になると考えられてきた。しかしながら近年になり、卵管を通過する際に受ける機械的刺激を再現することにより受精卵品質が向上するなど、適度な刺激は受精卵品質を向上させる可能性が示唆されるようになった。それでは、37℃一定が良いとされている培養温度も適度な変化を与えることで受精卵品質を向上させるだろうか?本研究ではまず体温の概日リズムに着目し、マウス受精卵の培養温度に12時間変動を与えた場合の発育への影響について調べた。方法:C57BL/6JJclマウスの凍結2細胞期胚を使用し、炭酸ガスインキュベーターの設定温度を37℃一定、38.5℃一定、12時間おきに37℃と38.5℃に変化させる3つの群で培養した。胚の品質は、胚盤胞到達率および胚盤胞の大きさで評価した。結果:胚盤胞に到達した個数は、対象群で4個、高温群で3個、12時間変動群で4個であった。胚盤胞の平均の大きさは、対象群で113.1μm、高温群で107.4μm、12時間変動群で120.4μmであった。12時間変動群では、胚盤胞到達率は低下したが、顕著に大きく成長した胚盤胞が2個確認できた。結論:培養温度の変化が胚の品質に良い影響を与える可能性が示唆されたため、今後さらにサンプル数を増やして実験を行う必要がある。

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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