生体医工学
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行方不明者早期発見の課題とシステム開発戦略の提案
石原 謙
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 86_2

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抄録

国内だけでも震度5超の地震が毎年数件は発生し、A-PLAT(気候変動適応情報プラットフォーム)によると洪水被害は市町村の半数にあたる794地域で平均毎年1件以上にもなる。これらの災害では、行方不明者の早期発見が救命の何より重要な課題であり、解決すべき根本課題と言えよう。

 そこで、行方不明者早期発見のためのシステムを提案する。従来の要素技術を組合せたものであるが、これまでに無い独創的開発戦略であろう。

 目的は死体の発見ではなく、呼吸し心拍のある生存者であるから、生きた人体を捜索することに主眼を置き、#1微小な温度変化を図示できるサーモグラフィ、#2加齢臭ノネナールやストレスで増える疲労臭のアンモニアなどの匂いの高感度検出、#3可聴音ならびに力学的振動の検出、加えて、#4超音波反射法での反射経路を問わない微小変化検出、#5電波(200MHz〜2GHz程度)での反射法による波長以下の位相変化を検出する動体検出、ではいずれも呼吸と心拍検出に特化して対応する0.1〜2Hzのバンドパスフィルタリングを備え、生体の存在位置や存在可能性を検出するだけではなく、バイタルサインの有無を検出する機能の並列稼働システムを開発する。

さらには、不明者が居ると推定される周囲に数点以上の複数の信号(力学的振動・電流・電波)発生源と受信装置を設置して、透過法や開口合成法などでのCT的探索手法も検討されるべきかもしれない。共同研究開発陣を強く求めさせていただきたい。

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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