2025 年 71 巻 1 号 p. 27-35
埋設状態の木杭の質量,密度およびヤング率を推定する方法を開発する目的で試験体質量を測定せずに振動試験から試験体質量を推定する方法(質量付加振動法)を木杭に用いた。断面25 mm(Radial)× 5-25 mm(Tangential), スパン275 mm(Longitudinal)の矩形断面材および直径140 mm,長さ4 mの円柱状の木杭を用いた。試験体に集中質量を加除して曲げ振動試験を行った。曲げ振動試験は杭頭から1 mの部分を地中から露出させて行った。木杭は全て健全であった。地盤が均質であれば埋設後10年程度の間は木杭の地中部の端末条件の完全さの程度として初期値を利用可能であると考えられた。質量付加振動法による木杭の質量は木杭の地中部分の端末条件の完全さを利用して補正できた。これに基づき木杭の質量を現場で簡便に推定する方法を提案した。地盤の均質の程度を振動試験から検出できる可能性が示された。