生体医工学
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BMIコミュニケーションシステムの実現に向けた深層学習による頭蓋内脳波のデコーディング
田口 美紗藏富 荘留吉田 翔平平田 雅之
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2025 年 Annual63 巻 Proc 号 p. 383-384

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抄録

目的:発語が困難な患者のコミュニケーション支援として、日常で自立的に使用可能なBMIシステムの構築に注力してきた。本研究では、フリック操作による文字入力を行うための、脳波のデコーディング手法を確立することを目的とした。

方法:手の伸展・手の掌握・腕の伸展・腕の屈曲の4種の運動企図中および安静時の頭蓋内脳波を取得した。脳波はノイズ除去など前処理を施し、71電極における1秒分のデータを、時系列データとしてモデルへ入力した。自立的にフリック操作を行うには、各時刻のデータに対して、フリック操作の意思の有無の推定と、フリック操作の方向の推定の2つを行う必要がある。そこで、フリック操作の意思の有無を分類するモデルを Long Short Term Memory (LSTM) 層により、 フリック操作の4方向を推定するモデルを全結合層により、それぞれ深層学習を行い作成し、これら2つのモデルを用いてカーソル操作行った。

結果:モデルは それぞれ96.6±0.5%および 67.1±2.7%の精度が得られた。これにより、患者自身が自立的にシステム操作を行えるようになった。

結論:LSTM層による操作意思の有無の推定および全結合層によるフリック操作の方向推定を行うことで、患者が日常生活で自立して脳波による文字入力を行うことが可能なコミュニケーションシステムを確立できた。

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© 2025 社団法人日本生体医工学会
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