抄録
実規模で食品廃棄物をバイオガス化処理している施設に対してアンケート調査を行って、メタン回収量、経済性等の特性を明らかにした。
施設の処理規模は、約5~107 t/日と違いがみられ、50t/日以下の施設数は全体の約70%であった。さらに、施設の稼働率は平均約60%であり、処理能力が必ずしも活かされていない。処理物1tあたりのメタン発生量は、約1~190m3/tと対象処理物の種類によって大きく異なっていた。バイオガスは主に施設内で熱利用されているが、バイオガスのみでは施設内消費エネルギーを賄えていなかった。バイオガス化施設の人件費を除いた処理物1t当たりの維持管理費は、食品廃棄物単独処理施設では約5000~7500円/t、食品廃棄物混合処理施設では約2500~5000円/tであり、建設費と同様に単独処理施設の方が混合処理施設より高額となっていた。バイオガス化を導入した処理業者は、課題も多く一部を除いて厳しい運営を余儀なくされている状況であった。