抄録
建築物の解体等に伴い大量の廃石膏ボードが排出されるが,そのほとんどが埋立処分されている状況にあり,今後ますます排出量の増加が予想されている。廃石膏を使用してリン含有水溶液および下水処理場の消化汚泥の脱水ろ液中のリン(リン酸態リン)を難溶解性のリン酸カルシウム化合物として回収する手法について検討した。
廃石膏を使い,リン含有水溶液からリンを回収する実験を実施し,pHにより反応効率が異なり,アルカリ側で処理効率が高く,約80%のリンを回収することができた。反応生成物の同定を行い,主要組成は,カルシウムとリンであり,リン酸カルシウムの化合物が生成されていることがわかった。さらに,下水処理場の消化汚泥脱水ろ液から,リン酸カルシウム化合物を回収することができた。