抄録
堆肥化は家畜排せつ物などを有機質肥料に変換する技術であるが、その一方で温室効果ガスである一酸化二窒素(N2O)を排出させてしまう。本研究では、堆肥化開始時に戻し堆肥を混合した場合の堆肥化初期過程におけるN2O排出特性を検討した。実験には主材料として乳牛ふんと馬ふんを使用し、これに異なる割合の戻し堆肥を混合したものを実験に供した。この材料を小型堆肥化試験装置で3日間堆肥化し、N2Oの排出量を調査した。この結果、戻し堆肥の混合量が増加するほどN2O排出速度が著しく上昇し、積算N2O排出量も増加することが明らかになった。戻し堆肥を混合することにより、堆肥材料中に含まれる亜硝酸態窒素または硝酸態窒素が増加した。これが堆肥化初期過程、とりわけ堆肥温度が上昇する短期間に硝化または脱窒されることでN2Oが生成され、N2O排出速度の上昇および積算N2O排出量の増加を引き起こしたと考えられる。