抄録
環境教育は子どもたちのごみ分別行動にどのような影響を与えるのだろうか。また、環境教育の種類によって実際の行動に対する影響は異なるのだろうか。本研究では、学校で実施される環境教育と家庭内で実施される環境教育の効果に着目し、それらの要因が生徒のごみ分別行動にどのような影響を与えるのかを、熊本県水俣市の全中学校の中学3年生とその保護者を対象に実施した調査データをもとに探索的に検討した。分析から、授業の中の環境教育や保護者が家庭内で行っていると考えている環境教育は、現時点では生徒のごみ分別行動に対してほとんど効果をもたないことが明らかになった。これに対して、授業以外の活動や生徒自身の家庭内における環境問題への取り組みといった生徒の自発的な行動が、ごみの分別行動に影響を与えることが示された。