ごみ焼却施設の焼却飛灰中におけるダイオキシン類生成を抑制する方法のひとつとして二酸化硫黄ガスをボイラー前に混合することが検討されている。これは基本的に排ガス中の塩素ガスの低減を考慮したもので、飛灰固相中の塩素からダイオキシン類が生成する際に二酸化硫黄ガスが与える影響について詳細には検討されていない。そこで本研究では、飛灰固相中の塩素源として塩化カリウムを用いた模擬飛灰、および実焼却飛灰を二酸化硫黄ガス存在下で加熱し、芳香族塩素化合物の生成量や飛灰中の銅化合物の化学形態の変化を測定した。模擬飛灰を加熱したところ、芳香族塩素化合物の生成が二酸化硫黄ガスにより抑制される場合と、逆に促進される場合があることがわかった。実焼却飛灰を加熱したが、芳香族塩素化合物の生成量は変化しなかった。二酸化硫黄ガスを混合して加熱することにより、飛灰中の銅化合物の化学形態が変化することを示唆する結果が得られた。