抄録
本稿の目的は、近年の不確実性時代において高パフォーマンスを志向する企業の環境戦略の中でも、特に資源循環の評価に着目し、実証的に分析することから企業価値創造の源泉の特性を明らかにすることである。 環境規制が技術革新を刺激し企業競争力が高まるというポーター仮説については、既に国内外でさまざまな実証がなされてきているが、ここでは2005年から2010年までの国内製造業を対象とした環境経営度調査と上場企業の財務データを用い、資源循環に関する評価パフォーマンスと財務パフォーマンスの関係をさまざまな切り口で分析し、各企業の動向や類型からモデル化に向けての基礎理論の把握と追試による仮説の再検証を試みている。 ここで明らかにされた傾向分析の結果は、現在目指すべきサステナブル社会における企業の位置づけをより明確にしていく為の基本情報の一部を補完するという意味で有用なものであると考えられる。