抄録
現在,27道府県と1政令市において産廃税が導入されている。産廃税の課税目的として多くの自治体が挙げているのは,産廃の発生・排出抑制,再使用,再生利用,その他適正処理に関する施策に要する費用への充当である。一方,半数以上の都道府県で,当該自治体外から持ち込まれる産廃に対する搬入規制が行われている。搬入規制の目的として多くの自治体が挙げているのは,産廃流入量の事前把握や削減,不適正処理の防止である。産廃税や搬入規制は上述の目的を実現するために実施されている自治体独自の政策であるが,それらは他の自治体への産廃の流出を増加させている可能性もある。本研究では産廃搬出側と搬入側の自治体間の距離を考慮して,産廃税と搬入規制を含む産廃政策と,交通アクセスや県民所得などの社会経済的要因が産廃の広域移動に与える影響について分析する。