抄録
バングラデシュ国のダッカ首都圏では、増大する廃棄物の管理が大きな社会的課題となっていた。ダッカ市役所が担うダッカ市の廃棄物管理は、様々な理由から適切に行われてこなかったため、当該国からの要請によりJICAによる技術協力プロジェクトが実施された。この中では、行政区単位で廃棄物管理改善を取り組む「行政区単位の改善」(Ward Based Approach)が導入され効果を上げてきた 。ここでは、次のステップとして、従来の慣例による清掃事業を改善するため、①事業指針の策定と指針に基づく清掃事業、②予算方針と査定を通じた予算立案、③関連条例や通知等を取りまとめた「事業実施細目」に基づいた事業の実施といった『行政的なアプローチ』を用いた。この行政的アプローチによる成果はすぐには現れにくいが、第一線の職員に対する一定範囲の意思決定裁量の付与など、プロジェクト終了後も様々な形で改善が進んでいる。