抄録
本研究では、文部科学省及び環境省が整理している環境教育の学年別・教科別ガイドを元に、小学校、中学校、高等学校で採用されている教科書及び学習指導書のうち、全国シェアが大きいものを調査し、資源循環・廃棄物処理分野に係る記述内容、指導方法、配当時間を把握した。また、ESDや環境リテラシーに係る既存研究のレビューを行い、環境教育を通して育むべきとされる能力を整理した。そのうえで学科カリキュラムの現状とESD概念に基づく理想的な環境リテラシーを比較し、学校教育における環境教育システムの課題を検討した。研究の結果、専門家による教材の適切なチェック機能が十分に機能していないこと、責任感や参加意識を醸成したり、批判力やコミュニケーション力を高めたりするには、カリキュラム内容や支援体制が不十分であること等が明らかとなった。