抄録
土の飽和度が僅かに低下するだけで液状化強度は急激に増加する.本研究では動的遠心模型実験のための飽和地盤を遠心加速度場にて作製する方法について検討し,飽和度に及ぼす遠心加速度の効果を実験的に確認した.実験では,まず飽和度を0.1%以上の精度で測定する方法について示し,続いて重力場及び遠心加速度場にて地盤底部から注水して作製した地盤の飽和度を計測した.その結果,飽和過程において地盤の過渡的不飽和領域でエントラップされる空気が飽和度低下の原因であることがわかった.遠心加速度を作用させることにより過渡的不飽和領域の厚さが減少し,負圧と組み合わせることによって豊浦砂では99.8%,細粒分を含む細砂でも99.3%の飽和度を達成した.また注水時間を大幅に短縮することが出来た.