抄録
2000年に施行された循環型社会形成推進基本法によって,廃棄物のリサイクルが一般的となった.しかし,それ以前の廃棄物は中間処理が不十分であり,有用な資源が含まれたまま処分場へ埋め立てられていたと考えられる.近年,廃棄された製品中に含まれる資源を鉱山に見立てる都市鉱山が注目されているが,処分場をその場所として考えたとき,存在する金属資源を有効活用することを提案したい.本研究では,最終処分場のボーリングコア試料を用いて,含有金属濃度・鉱物形態を検討し,深度に伴う金属資源の賦存状況を解明することを目的とした.今回分析を行った処分場では,CrとNi,Ce,La,Ndの深度に伴うトレンドは類似した.また,埋立層内の嫌気性雰囲気下でGypusumが生成あるいは存在し,SO42-がS2-に還元されることで金属元素と反応し形態が変化した可能性からGypsumの存在と金属濃集の間に関係があると考えている.