抄録
わが国では年間約45万トンもの廃食用油が発生しており、その約40%が焼却もしくは埋め立て処理されている。国内で稼動しているメタン発酵施設は約600以上あるが、油(廃食用油)を主原料としたメタン発酵施設はなく、少量を主原料(下水汚泥など)に混ぜて処理する方法が精々である。これはメタン発酵に関与する微生物が油を分解し難い事に由来し、何らかの前処理が必要不可欠であることを意味する。前処理法にはエネルギー的、経済的に生物的前処理が有利であることから、廃食用油を原料にしたメタン発酵システム構築のため、その前処理法について検討した。