抄録
現在の手選別によるごみ組成調査に比べ、精度よく化石由来・生物由来炭素を区別する方法として放射性炭素を利用した14C法が開発されている。本研究では、この14C法を用いて都市ごみ中のバイオマス炭素比率の時間的変動特性を推定することを目的とした。合計14日間、都市ごみ焼却炉で排ガス試料を採取して、そのバイオマス度をAMS法により測定した。1試料あたり8時間連続採取した14試料および1時間連続採取した8試料のいずれも有意な自己相関はなく、標本標準偏差はそれぞれ1.74%、1.56%であった。サンプル測定値の分散が排ガス組成のばらつきに由来する分散とAMS法の測定誤差に由来する分散の和で表されると考え、1時間サンプルの分散から8時間サンプルの分散を推定し、実測値と比較した。その結果、実測値の分散の方が推定値の分散よりも大きく、バイオマス炭素比率の変動は日内よりも日間の方が大きいことが推測された。