抄録
本研究では,最終処分場の最終目標である土壌還元状態を,焼却残渣を生物が生育できる土壌用物質に改変することと位置づけ,土壌還元化を促進させる方法として微生物の餌となる有機物の埋立層への添加に着目し,堆肥を覆土材として適用することの有用性について検討を行っている.
過去の研究で,BOD成分量の多い堆肥を覆土材として用いることで,焼却残渣の土壌還元化の第一段階である浸出水の中性化に効果があり,その中性化促進機構は,堆肥中の有機物の分解によって発生したCO2と,焼却灰中のCa2+の反応であると予測されている.本研究では,陽イオン,陰イオンの浸出傾向とpHの関係を調査し,pH低下に寄与するイオン種について検討した.その結果,CO2だけでなく,堆肥中に含まれるSO42- やアンモニアの酸化生成物であるNO3-等の酸性イオンも焼却残渣の中和に寄与することが確認された.