抄録
現在、国内の最終処分場の中には、高濃度の硫化水素が発生したことが原因の死亡事故も報告されている。最終処分場内での硫化水素発生要因は、嫌気的条件下での硫酸還元菌による硫酸塩の還元反応である。硫化水素発生を抑制する方法としては、通気用パイプの打設や、鉄イオンを含んだ覆土があるが、それぞれ、コスト高、対処療法で根本的な対策法ではないと懸念されている。一方、安価な硝酸塩を添加する方法は硝化脱窒を優位にすることで、硫酸還元菌による反応を抑制することが知られており、根本的な対策法の一つになり得ると考えられる。そこで本研究では、硝酸塩添加による硫化水素発生抑制の最適条件探索に先立ち、硫酸塩還元菌の活動により硫化水素が発生する系と、硝酸脱窒菌によって硝酸塩が脱窒される系を作成し、それぞれの制御法を確立させ、高濃度の硫化水素を発生する最終処分場の再現と硝化脱窒の安定的な運転を行うことを目的とする。