抄録
堆積廃棄物の斜面安定性については、経験的に急勾配で安定することが知られているが、その試験・評価方法は確立されていない状況にある。そのようななかで、わが国の不法投棄等現場の堆積廃棄物の斜面安定性評価に適する強度試験法や解析法について、土質力学をベースに、国内外9現場での強度実験等により研究した。その結果、強度試験法として不法投棄等現場用に改良・開発した一面せん断試験、引張試験や安息角試験が、解析法として引張抵抗を考慮した評価式が、それぞれ現場の斜面安定性を良く表すことが分かった。
わが国の不法投棄等現場の堆積廃棄物は、大小重軽の廃棄物が良く混じり合っていること等によって高い摩擦抵抗を有するとともに、繊維状物等により発現される特有の引張抵抗により、通常の土地盤に比べ非常に高い斜面安定性を示す。