抄録
建設現場で発生する自然由来の重金属を含有する土壌の取り扱いは汚染土壌の処理や建設発生土の有効利用の観点から社会的に大きな課題である。重金属類を含有する土壌を適切に管理するためには、土壌からの重金属類の長期的な溶出特性の把握が必要である。本研究では、堆積層の硬質粘土中のヒ素を対象として、粒径別にシリアルバッチ試験、酸/アルカリ溶出試験及び逐次抽出試験を適用し、一般環境下において溶出しうるヒ素の最大量(以下、可能最大溶出量という)を推定した。 シリアルバッチ試験の結果、液j固比10でのヒ素の溶出量は粒径に大きく依存し、1回の溶出量は液固比の増加に伴い漸減することが確認された。また、各種溶出試験から推定された可能最大溶出率から、当該土壌からのヒ素の可能最大溶出量は、粒径31.5-50.0mmの試料で最大2.1%程度、粒径<2mmの試料で最大10.5%程度であることが確認された。