抄録
福島第一原発の周辺で発生した焼却飛灰には水溶性の放射性セシウムが含まれているため,飛灰の吸水によって放射性セシウムの漏出が生じる恐れがある。漏出を阻止するにはセシウム吸着剤を飛灰に添加すればよいが,飛灰には水酸化カルシウムや塩化カルシウム,塩化ナトリウム,塩化カリウムが多量に含まれるため,ゼオライトやプルシアンブルーなどは使えなかった。我々はフェロシアン化ニッケルがこのような 条件下でも選択的にセシウムを吸着することを見出した。放射性セシウムの漏出防止に必要な量は,飛灰1トン当たり数十グラムでよい。