抄録
福島第一原発の周辺で発生した焼却飛灰には水溶性の放射性セシウムが含まれているため,飛灰の吸水によって放射性セシウムが漏出する恐れがある。このため飛灰は水の浸入を防止できる建造物中に長期間保存する必要があるが,飛灰には潮解性の塩化カルシウムも多量に含まれているため,これが湿気を吸収して溶液となって流れだし,放射性セシウムの漏出を引き起こす可能性がある。塩化カルシウムを含む飛灰の加湿実験を行ったところ,1)吸水量は時間の平方根に比例して増大すること。2)溶液の漏出は飛灰中の空隙が吸湿で生じた溶液で満たされた時点で生じること。3)Csの漏出に要する時間は貯蔵されている飛灰の高さの二乗に比例して長くなることが分かった。