抄録
溶融技術は様々な除染廃棄物からCsを分離させることが可能である。しかし、塩素含有濃度が低い下水汚泥や土壌を対象とする場合は、塩素化源となる薬剤(揮散促進剤)を重量ベースで数十%程度添加する必要があるため、それらの処理においては、安価な薬剤の選択が求められる。通常、揮散促進剤としてCaCl2を添加するが、その半分以上はHClとなって排ガスに移行し、排ガス処理過程においてアルカリ中和される。そこで、本報では、アルカリ中和により生成した溶融飛灰を揮散促進剤として循環利用することを目的とし、テストプラントで実証試験を行った。その結果、溶融飛灰中のCaCl2は市販試薬と同等レベルのCs揮散効果を有しており、揮散促進剤としての循環利用が可能であること、溶融飛灰はINPUTに対して63%のClを保有しており、CaCl2試薬の最大6割程度を代替可能であること、が分かった。