抄録
石綿含有成形板も破砕除去すれば大量の石綿が飛散することが指摘されており、筆者らの測定においても管理濃度を大幅に上回る除去工事現場が多数見られた。筆者らは、破砕除去を再現した石綿含有成形板の破砕実験を行い、破砕時の条件と粉じん発生量及び石綿繊維飛散量との関係を定量的に把握することを試みてきた。本研究では実験時間の短縮や再現性の向上を図った新たな衝撃試験機を導入した。建材(ケイ酸カルシウム板)の幅を3 段階に変化させて破断長(建材の幅)と粉じん発生量及び石綿繊維飛散量との関係を、破砕エネルギーを2段階に変化させて破砕エネルギーと両者の関係を解析した。破断長と粉じん発生量の間には正の相関が見られた。また、破砕エネルギーを大きくした場合に粉じん発生量も多くなることが確認された。一方、石綿繊維飛散量については、同一実験条件でもばらつきが大きく、実験条件との関係を明確にすることができなかった。