抄録
本研究では震災廃棄物処理計画の立案の基礎となるデータを提供することを目的に、仙台市における石綿含有建材ストック量を推定した。
推定にあたっては、石綿含有建材使用原単位を算出し、建築物ストック量に乗じる手法をとった。建築物ストック量は、建築年ごとに集計されたデータは入手できなかったので、着工量に建物構造ごとの残存率を掛け合わせることで計算した。なお残存率は既往研究で算出されたものを用いた。原単位は、その年の建材出荷量を、使用が考えられる建物の延べ着工床面積で除することで求めた。以上の方法で、建物の構造別、用途別それぞれについて推計を行った。結果、ほとんどの建材について近い推定結果を得た。なお、推定対象期間内(1971~2004年)の全国と仙台市それぞれの着工量の合計の比で各建材の出荷量合計を割った数値と比較すると、岩綿吸音天井板で推定値の方が高く、いくつかの建材では出荷量と推定値が近い値であった。