抄録
東日本大震災以降、廃棄物焼却施設を災害時の防災拠点とする考え方が検討され始めている。例えば、災害発生後に焼却施設内の排水を浄化処理して避難住民の生活用水として再利用することが考えられる。当社では、焼却施設の実排水を処理対象としてRO膜による浄化処理について検討し、基本プロセスを構築した。ここで、RO膜はシリカによって閉塞することが知られており、シリカ除去技術の確立が求められる。シリカは、アルミニウム系凝集剤により除去されるが、その濃度によっては重合体を形成すること、および共存元素と様々な化合物を生成することから、その処理機構は複雑であると予想される。また、シリカは排水基準や水道水基準などの水質基準の対象外であるため、処理法に対する研究例は比較的少なく、その機構は詳細には検討されていない。本報では、水中の溶存シリカについてアルミニウム系凝集剤による除去メカニズムの検討結果を報告する。