抄録
溶解ダストに含まれる酸化亜鉛の硫化水素発生抑制機序の解明を試みた.石膏紙に溶解ダストを添加した嫌気培養において,酢酸主体の有機酸生成とそれに伴う亜鉛濃度の上昇を確認した.試薬を用いた実験からも,酢酸水溶液に酸化亜鉛が溶解し亜鉛イオン濃度が上昇することを確認した.酸化亜鉛含有率の異なる溶解ダストを用いた硫化水素発生試験結果と,酢酸水溶液による溶解ダストの亜鉛溶出試験結果から, 110mg/L以上の亜鉛濃度範囲で硫化水素の発生と硫化物生成が共に抑制されることを確認した.さらに,塩化亜鉛水溶液を石膏紙に添加した嫌気培養実験から,亜鉛イオン濃度が硫化水素発生抑制に関係していることを確認した.亜鉛イオンはミトコンドリアの呼吸速度を低下させることが知られており,硫酸還元菌の嫌気呼吸を阻害している抑制機序が類推された.これは,酸化亜鉛の触媒作用により酸素から過酸化水素が生成する既知の抗菌作用とは異なる.