抄録
PVCは加熱により塩化水素が発生するため、脱塩素処理が必要となる。既往の研究ではNaOH/EGを用いることで、大気圧下で高度に脱塩素が可能であるが、廃液としてNaCl/EG溶液が生成する。この溶液から塩素を回収し、PVCの製造に再利用することで、塩素循環が達成される。そこで、本研究では貧溶媒添加法を用いて、NaClの回収を検討した。貧溶媒としてDiPAを用いると高度にNaClの回収が可能となったが、結晶純度の低下が認められた。一方、THFを用いると、結晶純度は高いものの、高度に回収するには多量のTHFが必要となった。NaCl/EG溶液中へのNaOHの混入についても検討を行ったが、両貧溶媒ともNaOHの影響を受けずにNaClの回収が可能とわかった。しかし、THFを用いた場合には、NaOHがゲルとして分離した。ゲルとして分離すると、ろ過が困難となるため、ゲルとしない工夫が必要と考えられる。