抄録
活性汚泥法では処理にともない余剰汚泥が発生する。また、余剰汚泥を減容する手段として嫌気消化を行う場合があるが、減容率は30-60%程度に留まり、生分解性の低い消化汚泥が発生する。最近になって演者らは、消化汚泥を分解する微生物(消化汚泥分解菌)を分離した。そこで本研究では、分解菌が消化汚泥のみならず余剰汚泥に対しても分解能を持つかどうかを検討した。実験の結果、分解菌は余剰汚泥でも良好に生育し、消化汚泥同様に分解能を持っていることがわかった。他方、分解酵素活性を検討したところ、余剰汚泥で培養した場合の上清液の酵素活性は消化汚泥を与えた場合よりも低い傾向をとり、分解酵素の生産量が減少していることが示唆された。次に、分解菌の酵素を用いて嫌気消化を促進させられないか検討した。実験の結果、消化汚泥を嫌気消化の基質とした場合に、分解菌の培養上清を加えることでバイオガス生産が促進された。