抄録
リン資源は世界的に枯渇が懸念されており、多方面からの回収が望まれる。本研究では回収源の一つに下水汚泥の炭化物を検討する。従来は焼却処理が主であったが、CO₂の発生を抑制するため、現在では汚泥の炭化処理が推進されている。しかし、汚泥炭には汚泥脱水時に添加する凝集剤由来のアルミニウムや鉄が含まれ、リンの有効利用における妨げとなっており、それらの影響を抑える回収方法の構築が必要である。 下水汚泥焼却灰からのP回収では、灰酸抽出法・灰アルカリ抽出法等があるが、それぞれ複雑な回収方法,回収物に不純物が含まれている等の問題がある。汚泥炭では回収の報告さえあまり見ない状況にある。そこで今回、酸抽出後の溶液から比較的簡便な処理で行える吸着法を用いてAlとPの分離が可能かを検討した。使用する吸着剤は、産業廃棄物であるミカンジュース搾り粕を処理したバイオマス吸着を母体にZrを担持させたものを使用した。