主催: 一般社団法人廃棄物資源循環学会
建材中の石綿分析は2014年3月にISO法を追加してJISK1481が改定された。光学顕微鏡及びX線回折を中心とする現在の方法では、電子顕微鏡法は石綿同定に用いられる。廃棄物関連試料には様々なマトリックスがあり、電子顕微鏡による同定確認も重要といえる。本研究では走査型電子顕微鏡による石綿濃度の定量分析を検討した。試料中のセメント成分を塩酸で除去し、繊維を含む残渣をろ紙にて捕集する。ろ紙上の繊維の石綿同定を行い、約3mm2の面積の石綿繊維の計数・計測(繊維幅・繊維長)する。繊維の体積(クリソタイルでは円柱と仮定した)に同定した石綿の密度を乗じて重量を計算し、ろ紙上の試料重量で除して重量濃度を計算するものである。結果は1.2%のクリソタイル含有物であった。この結果は偏向顕微鏡でポイントカウント法による定量値とほぼ一致した。検出下限は平均的な繊維を想定すると0.02%であった。