抄録
最終処分場の逼迫や鉄スクラップ価格の低迷による使用済自動車の処理における逆有償化に伴い,わが国では2005年に使用済自動車のリサイクル・適正処理を図ることを目的とした自動車リサイクル法が本格施行された。 このなかで,ASR,エアバック,フロンの3品目は指定回収品目に指定され,自動車ユーザーから徴収したリサイクル料金による処理がされているところであり,適正処理・リサイクル率の向上とともに,その費用低減が求められている。 しかし,自動車リサイクル法が施行されてから現在に至るまで,その改善効果を時系列的に評価した例は少ない。本研究では,社会コストミニマムかつ高度な自動車リサイクルシステムの構築に向け,ASRを中心とした指定3品目について,処理技術や経済性といった再資源化環境の変遷を辿り,自動車リサイクルにおける現状を明らかにすることを目的としている。