抄録
2011年3月11日に発生した東日本大震災後、災害廃棄物仮置場にて廃棄物の自然発火による火災が東北地方各地で問題となっていた。今後も大規模な災害により発生した災害廃棄物を管理する上で火災防止が強く求められる。本研究では岩手県の災害廃棄物一次及び二次仮置場を対象として、堆積廃棄物層内の温度・ガス成分の他に表面温度を測定して、火災発生に繋がる可能性のある初期の温度上昇現象、及び温度上昇低減のための掘削作業の効果について検討した。その結果、サーモグラフィー及びポータブルガス測定器による現場調査の有効性、さらに温度とガス成分の相関関係より災害廃棄物仮置場堆積廃棄物層内の初期の温度上昇現象が好気性微生物反応によるものであると推定されることを明らかにした。また温度上昇低減のための仮置場堆積廃棄物を条件によっては掘削作業により温度低下が図れることを明らかにした。