主催: 一般社団法人廃棄物資源循環学会
標準アスベスト及びアスベスト含有建材中のアスベストが、硫黄と水酸化カルシウムから製造した溶液を用いてキルン内で撹拌することで分解され、その含有率は0.1%以下になることを発表してきた。本研究では反応機構を解明するために分解条件と分解生成物を粉末X線回折法(XRD)、位相差顕微鏡・分散染色法、走査型電子顕微鏡(SEM)、エネルギー分散型X線分析(EDX)法により同定した。その結果、アスベスト分解剤が回転撹拌の過程でアスベスト繊維の間隙に浸透した硫黄化合物が徐々に酸化され、イオン半径の大きな硫黄化合す物が生成することが明らかになった。結晶間隙に貫入した硫黄化合物のイオン半径の増大により、結晶構造に歪が起き、回転によって、歪が破砕されると考えられる。 更に、含水したスレートの液体窒素処理によってもアスベスト繊維の分解が観測された。これは結晶間に貫入した化合物の膨張による結晶構造破壊を支持した。