主催: 一般社団法人廃棄物資源循環学会
著者らはこれまでの研究から、主灰中のCsが難溶性であるのは、主灰中の結晶粒子表面のガラス状非晶質相に封じ込められているためであることを各種の顕微鏡分析と溶出試験から明らかにした。しかし、Csを表面に捕捉した結晶粒子は何に由来するのか、元々被焼却物中に存在していたのか、燃焼の過程で被焼却物中の元素が反応して生じたのかは不明である。そこで、本研究では、このCsを特異的に表面に濃集させている結晶物質の由来を明らかにすることを試みた。試料に粘土等の無機材料、および有機物材料を用いた。炭酸Csを添加して燃焼させ、得られた灰について顕微鏡分析を行った。Csと親和性の高い粘土系の鉱物が結晶の由来であると期待されたが、粘土粒子はその粒径が小さく、Csの捕捉はあるものの既報の粒子とは異なっていた。ガラスの溶解部分にはCsは特異的に濃集した。また、有機物の燃焼であってもCsが特定の灰に濃集することを確認した。